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一般皮膚科やけど

やけどとは

やけどは熱傷の通称です。体温よりも高温の物質に接触したり、赤外線や電撃などによって体組織が高温になると熱傷を起こします。

高温に接すると短時間で熱傷を起こしますが、比較的温度が低いものでも長時間接触すれば、やはり熱傷を起こす危険があります(低温熱傷)。体温より温度が高いものであれば、熱傷を起こす危険があるのです。

ただし低温熱傷の場合は上記のように、熱傷を起こすには相応の時間がかかるので、お風呂で熱いお湯に毎日つかる程度ではやけどしません。

反対に冬になるとカイロやアンカ・湯たんぽなどで低温熱傷が頻発するのは、長い時間接触しているからです。

やけどの原因

家庭内で起こる事故の中でも、やけどはもっともよく見られるものの一つです。やけどの半数近くは10歳未満の子どもで、そのうちさらに半数以上は1歳未満の乳児です。

家庭でのやけどの原因は、ストーブやファンヒーターなどの暖房器具、加湿器や炊飯器などの蒸気、鍋ややかんなどの調理器具、お湯・コーヒーなど高温の液体やカレー・シチューなどの調理食品等、多岐にわたります。高温のお湯が出るタイプの古い浴室では、湯船にためたお湯やシャワーでやけどした例もあります。アイロンは一度熱くなると触れても大丈夫な温度に低下するまで時間がかかるため、使い終わった後にうっかり触れてしまわないよう注意が必要です。

女性に多いやけどには、ヘアアイロンによるやけどがあります。ヘアアイロンが頬に当たった、うっかり手をすべらせてふとももに落としたなど、短時間の接触でもやけどが起こります。

やけどの中でも低温熱傷は比較的高齢者によく見られます。カイロや湯たんぽを使用する割合が多いこと、加齢にともなって熱さや痛みを感知しにくくなることなどが要因としてあげられますが、もちろん若い人や子供でも低温熱傷は起こります。

やけどをすると

やけどの原因となる熱源から体を離した後も、実はやけどは進行しています。やけどをすると、熱により体の組織が障害され、障害された組織に炎症が起こります。やけどは熱による直接的な皮膚や皮下組織の障害だけでなく、この炎症よってさらに障害が進行するので、やけどの本当の深さや重症度は数日経ってからでないとはっきりしません。

やけどした皮膚は、体温や水分を体の外に逃さないようにする、細菌やウィルスから体を守る、といった機能が失われます。このため広い範囲にやけどした場合、体温の保持ができなくなったり脱水症になったり、感染を起こしやすくなります。感染を起こすと、さらにやけどは重症化します。

やけどの重症度

やけどの重症度は、やけどの深さや範囲によって判断されます。

やけどの深さによる分類は、1〜3度熱傷に分けられます。

1度熱傷は、皮膚の表皮というごく浅い部分までのやけどです。やけどした部分が赤くなり痛みをともないますが、数日〜1週間程度でほぼ跡形もなく治ることがほとんどです。

2度熱傷は1度熱傷よりさらに深く、皮膚の真皮層まで障害された状態です。赤くなるだけでなく、水ぶくれができます。1度熱傷より強い痛みをともなうことが多く、完治まで2〜3週間またはそれ以上かかります。やけどが深い場合は、やけどのあとが残ります。

2度熱傷は時間の経過とともに、3度熱傷に移行する場合があります。

3度熱傷は皮膚だけでなく、皮下組織まで障害された状態です。3度熱傷になるとかえって痛みを感じにくくなります。3度熱傷は治ってもやけどのあとが残ります。また完治までに相当数の日数が必要です。

やけどの重症度は上記に加え、やけどの範囲を算定して判断します。また範囲は狭くても顔面や陰部のやけどなど、部位によって重症と判断されることがあります。重症のやけどになると入院や手術が必要になります。

やけどをしたら

応急処置

日常生活での一般的なやけどの場合、何よりもまず充分冷やすことが大切です。

冷却により、あとから起こる炎症を抑制し、やけどの悪化を防ぎます。痛みを抑え、やけどをなるべくきれいに治すためにも、充分に冷やしてください。

方法は、やけどをしたあとなるべく早急に、水道水などの清潔な流水で冷やしてください。

冷やす時間は最低20分、できれば30分以上冷やしてください。

服の上からやけどした場合は早急に衣服をぬぐか、または衣服の上から流水をかけてまず温度を下げてください。

氷水は冷えすぎて血の巡りが悪くなるので、使用しないでください。また貼るタイプの冷却材や湿布なども患部を刺激するため、使用しないでください。

清潔な流水が充分なく氷や保冷剤しかない場合は、タオルに包んでから患部に当てるなどして冷しすぎないように工夫してください。この方法は流水がかけにくい部分のやけどや、じっとしていることが苦手な子どものやけどにも応用できます。

冷却中は体温の低下に注意してください。特に乳幼児の場合は低体温にならないよう、やけどの部分以外は保温に留意してください。やけどの範囲が広く広範囲を冷却する場合は、大人でも注意が必要です。

医療機関の受診

応急処置で充分冷やしたあとは、早急に皮膚科や形成外科を受診してください

ただし広範なやけどや全身にやけどした場合(例:ひっくり返ったやかんの熱湯が乳児の全身にかかった)、顔面のやけど(とくに眼・眼内)、炎に巻かれた・吸い込んだ場合、その他重症のやけどと判断される場合は、やけどをしたら直ちに救急病院等を受診してください。

やけどの治療

ステロイド(副腎皮質ホルモン)外用剤

やけどの炎症を抑えるために使用されます。やけど直後から炎症(赤み)が改善する間の短期間に使用され、主に浅いやけどに使われます。

ステロイド外用剤の必要がなくなってからも漫然と使い続けると、かえってやけどの治りが悪くなったり感染を起こすリスクがあるので、医師の指示に従って外用してください。

その他の外用剤・スプレー剤

やけどの深さや感染のリスクなどに応じて、各種の外用剤が使用されます。

傷を保護する目的や、感染の予防、壊死した組織を脱落させる作用を持つもの、創傷治癒を促進させる作用のものなど、やけどの状態によって使い分けられます。

貼付剤

傷が治りやすい環境を作り、創傷治癒を促進させる目的で患部に貼ります。頻回に交換するとかえって傷の治りが悪くなるので、ある程度の日数交換せずそのまま貼り続けます。やけどに触れる回数が少なく常に創部が貼付剤によって保護されているため、痛みが少ないなどの利点がありますが、反面貼っている間はやけどの状態が把握しずらいなどの欠点があります。

このため比較的浅いやけどで感染がない・または感染のリスクが少ないと判断された場合に、使用されることがあります。

外科的処置

重症のやけどの場合、皮膚移植などの外科的治療が必要になる場合があります。また壊死組織を切除したりすることもあります。

やけどが治ってからも傷あとをなるべくきれいにするため、整容的な目的で手術する場合があります。またやけどのあとが関節をまたぐ場合は、うまく関節が曲がらなくなってしまうことがあるので、場合によっては手術が必要になります。

全身管理

広範囲なやけどや重症のやけどの場合、点滴や呼吸・循環の管理などの全身管理が必要になります。前記の外科的処置が必要なやけどを含め、全身管理が必要なやけどは入院が必要です。

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